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オヤジの店 [うまい!]

元同僚のHさんから、“オヤジの店ありました”というメールが届きました。


この「オヤジの店」なるところへはかつて一度も行ったことがなく、去年秋に日本へ帰国したHさんから聞く情報だけだったのですが、いつもその話は興味深いものでした。賑やかな師範大学の夜市にありながら、外観も中も異彩を放つこの店へ、いつかは行ってみたいと思っていたのです。

ところがある日、店は突然閉店してしまいました。元々商売っ気のない店主だったようなので、「むべなるかな」と思ってそのことを帰国した元同僚に伝えました。Hさんはかなり落胆したようでしたが、気を取り直して自分でいろいろ調べたようで、その甲斐あって実は店が別の場所に移転していたことを知ったのでした。


移転先はわたしの職場からすぐの場所でした。


これは行くしかない。
そして、Hさんに店の様子を伝えなければ...


oyaji1.JPG

高いビルの合間にたたずむ朽ち果てた日本式家屋。
台北には意外と日本統治時代の建物がこうして今も残っています。


oyaji6.JPG

オヤジの店です。
「巫雲」の「雲」は、中国雲南省(現在)のことを意味しています。
ここは店主であるオヤジの収集したLPを聴きながら、雲南料理を食べてのんびり過ごす場所なのです。


oyaji3.JPG

写真では収めきれないくらい、店内はLPレコードでいっぱいです。
肖像画の人物がこの店のオヤジです。


すっかりこの店の雰囲気と料理が気に入ってしまい、
仕事を終えた夜は、つい立ち寄ってしまいます。


oyaji4.JPG

手前は雲南風の「魯味」(保存がきくように長時間煮込んだ料理。日本では佃煮のようなもの)で、豚の肝臓や耳などを独特のたれをかけて食べます。左奥は「枝豆と豆干(豆腐を乾燥させたもの)の炒め物」、右は「皮蛋豆腐」(ピータンと豆腐をつぶして混ぜ、辛味と酸味を加えたもの)です。どれも酒がすすむものばかりですが、なぜかここではいつもあまり酒を飲まずに、オヤジ特製の料理をじっくり楽しむようにしています。


ところで、そのオヤジですが、容貌があまりにすごいのと、いつも常連さんに囲まれているのと、かけるLP(音楽)を選ぶのに没頭している様子などを見るにつけ、なかなか近づけない雰囲気があって、いまだに言葉を交わしていません。ようやくわたしのことを認識してくれたようではありますが、こちらがちょっと怖がっているようではどうしようもありません。


しかし、店にはもう一人とても魅力的な人がいました。


oyaji5.JPG

通称「老八」(ラオパー)です。彼は日本にも住んでいたことがあり、とても日本語が上手です。年はわたしよりも少し上なのですが見た目がとても若く、なかなかのおしゃれで話題も豊富。話し上手でもあり聞き上手でもある老八は接客が天職のように思えます。

ところで、この「老八」というのは親しみを込めた言葉であって、八番目のお兄さんといった感じの意味です。ちなみにオヤジは「老五」で、なんと彼らは10人兄弟なのです! ミャンマーに生まれた少数民族で、中国雲南省にも居住している「白族」(ペー族)の出身だそうです。


というわけで、興味はつきません。
また続報をしたためたいと思っております。

oyaji2.JPG


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ゴーパ1号

お気に入りのお店が見つかるって嬉しいですよね。
そして、なんとも味のある雰囲気。お店も人も^^
by ゴーパ1号 (2008-06-29 21:29) 

たいへー

レコードが聴ける店って凄い・・・
私なら居座っちゃう。(笑

by たいへー (2008-06-29 21:52) 

鰯母

うーん、「おやじの店」、いいですねぇ。
おいしい料理と魅力的な店員、(そしてすさまじい雰囲気を
お持ちのような店主)、膨大な数のレコード!
まさに鯉三さんにうってつけのような(笑)
これからこの場所で楽しい時間をたくさん過ごせそうですね!
by 鰯母 (2008-06-29 22:55) 

りる

こういうお店、行ってみたいです!
オヤジさん、肖像画からも、
独特の雰囲気が伝わってきますね(^_^;
お料理もまた美味しそうです。


by りる (2008-06-29 23:24) 

seita

月並みな表現ですが、居心地が良さそうなお店ですね。写真を見るだけで音楽と熱く語る人達の声が聞こえてきます。
by seita (2008-06-29 23:28) 

kumimin

こんばんは。
すてきなお店が見つかってよかったですね♪
店内もすっきりしてなかなかおしゃれな感じがします。
兄弟で店を切り盛りされているんでしょうか?
それぞれに役割があるんでしょうね=^^=
by kumimin (2008-06-29 23:41) 

マヌカン☆

外観だけ見るとちょっと入りにくそうに思うのですが、本当に居心地良さそうな店ですね。
店主の好みの音楽を聞かせてくれるお店っていいですね。
自分の行きつけの店は、やはり音楽の好きなマスターがいます。
昼食で 週2~3回通う カレーの店です。
スパイスから焙煎して作る日替わりのカレーを食べに行くのが楽しみです。大阪の西本町にあります。
by マヌカン☆ (2008-06-30 00:32) 

たま

ここは日本?って思ってしまいました。
元気がでそうなお料理ですね。
「老八」さん・・・気軽に声を掛けられそうな雰囲気です。おもしろい話をいっぱい知ってそう・・・その後ろで食事中のお客さん?パソコンしながら・・・ですか^^;
by たま (2008-06-30 02:05) 

まぐろとわさび

なかなかステキなお店ですね。
こだわりの店主さんも弟さん(?)もいい感じ。
そんな店主さんが選ぶ音楽に興味津々です。
お料理も美味しそう!
by まぐろとわさび (2008-06-30 07:22) 

りみこ

1枚目の写真だけ拝見すると帰国されたのかと思うぐらいですねw
美味しそうで、また興味深いお店w
職場の近くということは、当分通われることになるのでしょうねw
by りみこ (2008-06-30 10:27) 

michael

おやじの店あってよかったですね。いい感じの店ですね。私も常連になりそうな店です。
by michael (2008-06-30 12:13) 

Balloon

すごいレコードの数々、店主ともう一人の話し上手な男性、
これでまた料理が美味しいときたらもう常連さんですね(笑)
近づきがたいオーラでも少しずつ距離を縮められたら世界がまた
広がりそうですね^^!
by Balloon (2008-06-30 12:16) 

cacocoa

会社の近くで再開していたなんて・・・!!
運命的ですね*^^*
お気に入りのお店が増えたなんて、ステキです☆
いつの日か、オヤジさんとも仲良しになっていたり・・・w
by cacocoa (2008-06-30 13:15) 

tano

気になっていたお店が見つかってよかったですね。
1枚目の、ビルとビルの古い家の写真、まるで日本ですね。
店内も人も、雰囲気があります。
料理の、独特のタレが絶対おいしいに違いない!と
写真からもわかります、
ええ、食べなくもわかります(笑
by tano (2008-06-30 18:36) 

きみどり

ほんと! すんごく、味のあるお店ですねぇ。
お料理も美味しそうだし
通いつめたくなるのがわかります^^
by きみどり (2008-06-30 23:08) 

ミタタロウ

おいしい食事に心地よい音楽とほどよい人との距離。
楽しい時間が過ごせそうですね。
そんな場所を見つけられたら、
どこにでも住めそうです。
きっと。
by ミタタロウ (2008-07-01 23:33) 

鯉三

ゴーパ1号さん:
お気に入りの店に出会うことって、ちょっとした恋のような感じですよね。まあ、この年になって恋だなんて言えたものではないのですが。

たいへーさん:
レコードの数は半端ではないのですが、徹底的に音楽にこだわるという姿勢ではないようです。しかし、音楽好きであることには変わりないので、やっぱり同じ仲間ですね(笑)。

鰯母さん:
海外で、しかも中華圏である台湾には、こういう趣味的なことに何も期待をしていなかったのですが、あるんですね、通じるものが。でも、やっぱり少数民族出身の人たちでした。それでも「台湾の自由がここにある!」と感じました。

りるさん:
肖像画はかなり美化されていますが、実物はもっと強烈なインパクトがあります。徐々に近づいていきたいと思っています。

seitaさん:
音楽好きのseitaさんにはきっと気に入っていただける店だと思います。わたしは自分の好みにうるさすぎる方なのですが、ここでは不思議といろんなジャンルの音楽を自然に受け入れています。

by 鯉三 (2008-07-02 02:11) 

ayou

お料理おいしそーですね!
どの辺にあるのですか? 行ってみたいです。
レコードもすごいですね、どんなジャンルの音楽なのでしょうか? あ、書いてありますね、看板に。なんでもありですか。
後ろにいる人たちも何となくくつろいだ雰囲気で…
by ayou (2008-07-02 23:40) 

鯉三

kumiminさん:
以前の店はもっと狭くて、雑然としていたようです。古い常連さんは昔の店の雰囲気の方が好きなようです。今は店が広くなって、台湾に住む兄弟が手伝っているそうです。店主の「老五」は少し楽になったのではないでしょうか。

マヌカン☆さん:
この店の店主の音楽の趣味は雑多で、何でもありといった感じです。でも、わたしが嫌いな音楽は今のところ流れていないので嬉しいです。
大阪西本町のカレー屋さんですか。そういえばカレー屋さんは結構こだわりの人が多いですね。わたしは神戸三宮のサヴォイへよく通っていました。

たま母さん:
ちょっとスパイシーな料理が多いので、辛いのが苦手な人はびっくりするかもしれません。でも、とてもおいしいですよ。老八の後ろに写っている人はここの常連さんで、台湾大学の講師だそうです。

まぐわささん:
わたしが使用している旧式のカメラでは、暗い場所はうまく撮れないのです。ぜひまぐわささんに撮っていただきたいと思います。店はきっと気に入っていただけると思います。

りみこさん:
職場の近くというのも大きいのですが、今まで行ったことがなかったのも新しい発見で、すっかりはまってしまっています。

michaelさん:
料理がうまいんです。とてもシンプルなのですが独創的で、いつも唸らされます。でもどちらかというと、料理人というより趣味人の料理だと思います。

Balloonさん:
はい、そうなんです。この近づきがたい雰囲気もまた魅力の一つです。これ以降も通っているのですが、ごく自然にお店と近づいていっている気がします。

カコさん:
運命かどうかは今のところわかりませんが(笑)。
ここ最近、お気に入りの店が増えてきたんですよ。どうしてなのかな。いずれにしても、食事する場所で楽しい会話ができるのっていいなと思います。

tanoさん:
tanoさん、さすがです!
魯味は「たれ」が決め手だったのです。このたれは雲南料理独特の酸っぱく甘く辛い味で、わたしはそういうものがとても好きなのです。

きみどりさん:
通いつめてます。
一旦家へ帰ってからも、また出かけることがあるくらいです。遅くまで店を開けているのも魅力です。ちなみに閉店の時間は特に決めていないそうです。

ミタタロウさん:
そうですね、海外に住んでいるとそういうホッとする場所が必要だと思います。台湾生活はもうずいぶん長いのですが、思い起こせばこれまでそんな店ってあまりなかったなと思います。逆にいうと、そんなものをこれまであまり求めてこなかったのでしょうね。


mito_and_tanuさん、STEALTHさん、nice!をありがとうございます。

by 鯉三 (2008-07-03 00:30) 

鯉三

ayouさん:
台電大楼の後ろの巷子にあります。汀州路の三軍医院の近くです。
ぜひ行ってみてください。のんびりといい時間が流れています。
老闆の音楽の趣味は雑多です。レコード収集の方がメインだと思います。
by 鯉三 (2008-07-03 00:38) 

ふじのしん

こんばんは。レコード棚に大量のレコード(写真だけでもざっと1000枚?)があるだけで親しみがわいてしまいますが、”オヤジ”の肖像画を見ると確かに・・・なんとなく近付き難い雰囲気はありますよね^^;。また詳しく紹介して下さい。

by ふじのしん (2008-07-05 01:55) 

iharaja

自分の波長とピッタリする店にはなかなか行き着きません。
ちょっと、鯉三さん、羨ましいぞ~(笑)
親友の旦那さんが以前にジャズ喫茶をしていたこともあり、
このお店のように自宅にLPが並んでいます。圧巻です。
驚くのはインデックスもないのに、誰々のとか、こんな雰囲気のとか言うと
迷わず棚から出してくれることです。
by iharaja (2008-07-06 07:52) 

鯉三

ふじのしんさん:
かなりの数のLPが並んでいるのですが、その管理もまたかなりいい加減です。LPの袋に数枚のレコードが入っていたりします。ジャンル分けなども一切なされていません。このブログに来ていただいているオーディオ、音楽の愛好者にはストレスのたまる環境です(苦笑)。しかし、やはり気に入っていただける店だと確信しています。わたしがそうでしたから。

iharajaさん:
本当にいい店(場所)を見つけました。
職場からはもちろん、住んでいるところからも近いので、いつもこの店のことが頭にあります。レコードの管理ぶりはiharajaさんのご友人宅に遠く及びませんが、ただ店主は純粋に音楽が好きなのだなと思います。昨日は店主の老五とようやく言葉を交わしました。結構気さくでいい加減な(笑)方で、またこの店へ足を運ぶことが増えそうです。

by 鯉三 (2008-07-06 13:20) 

ぐれこ

こんばんは。ちょっと離れている同僚です。
やっとコメント書き込みます。緊張で手が震え気味です。

素敵なお店ですねー。ほんとうに居心地よさそう。
行ってみたいです!
鯉三さん、素敵な場所もたくさんご存じなんですね。
ぜひぜひ私たち3人を連れていってください。
by ぐれこ (2008-07-10 00:51) 

鯉三

ぐれこさん、こんばんは。
コメントをありがとうございます。
しかし、どうして「ぐれこ」なの?

「私たち3人」というのも気になります。
一体どういう構成の三人なのでしょうか。
まさか...!


by 鯉三 (2008-07-12 21:56) 

のんたん

ご無沙汰してます。
先週のUpaperに載ってまして、あ!と思った次第。
仕事帰りに行けるなんて幸せですねえ。。。
このピータン豆腐はとても美味しそうです。
場所、難しそうですが、たけのこさんと探して行ってみたい
と思っています。
by のんたん (2009-10-12 11:57) 

鯉三

のんたんさん:
古い記事にコメントをいただき、ありがとうございます。巫雲へは最近全然行っていません。職場が公館から南京東路に変わったことと、巫雲がお昼の時間の営業をやめたこととで、すっかり足が遠のいてしまいました。実は週末の昼下がりに訪れる巫雲が大好きだったのです。
しかし、今でも自分にとって大切な店なので、近いうちにオヤジの顔を拝みに行きたいと思っています。
by 鯉三 (2009-10-22 00:00) 

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