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AS TEARS GO BY [音楽]

『SHINE A LIGHT』を観た翌日。
一緒に映画を観た職場の同僚・Davidがこちらへやってきて、
無言でわたしのデスクの上に一枚のDVDを置いた。


なんと、『SHINE A LIGHT』のDVDだった。



“どうやって手に入れたんだ!?”



彼は人差し指を口の前に立てて、「シーッ!」と言うだけだった。
そうか、秘密か。それなら秘密でもかまわない。



これはたまらん!!



今晩またあの映画を観られるのだ! しかもうちで酒を飲みながら...
その後の数時間、気もそぞろに仕事したことは言うまでもない。

しかし映像と音声が出るようにPCのプログラムの設定を変えたり、ソフトを新たにダウンロードしたりで結構手間がかかってしまい、結局映画を見たのはDVDを受け取ってから二日後だった。


ようやくPCのモニターに映像が現れ、
キースの荒々しいギター・リフがヘッド・フォンから耳に飛び込んできた。
まさに劇場で観たあの映画だ!
画面に釘づけのまま、あっという間に二時間が過ぎていった。
途中何度も泣けて、ティッシュで鼻をかまなければいけなかった。
初めて劇場で観た時もこっそり涙したけど、
さすがに隣に同僚が座っているのでぐっとこらえていた。
それに劇場は映像だけでなく音響もド迫力だったので、
そっちに圧倒されっぱなしだったのだ。


DVDで見た二回目は、落ち着いていろいろ思うところがあった。
ファンといっても、わたしがストーンズを聴くようになったのは1980年代で、すでにメンバーの平均年齢は30代後半に差し掛かっていた。ライブ・アルバム『STILL LIFE』の批評にも、“もうミックはこれが限界だろう”とか、“大規模なワールド・ツアーはこれが最後になるだろう”などという声が多かった。また一番気がかりだったのは、その頃ミックとキースの不仲が取りざたされていたことで、確かに映画『Let's Spend the Night Together』(1983)では、ステージ上でのミックとキースはお互い近づくことも目を合わせることもほとんどなかった。そしてミックのソロ・アルバムが続けて発表された頃は、「ストーンズ、危うし!」と思ったファンも多かったのではないだろうか。

でも、ストーンズは解散しなかった。
バンドは幾多の困難を乗り越え、まったく信じられないことだがまた最良の時を迎えたかのように若々しく活動している。もちろん往年の演奏やステージ・パフォーマンスは望めないが、そんなものはこちらも期待していない。

ストーンズを聴き始めて25年(古いファンからみれば、たったの25年!)。
最近はこうやってブログなどを書いたりして過去を振り返ったりすることが増えてきた。すでに当時の彼らの年齢も超えてしまっている。それでも、やっぱり自分の中には今も変わらずストーンズがいて、現在進行形で活動するストーンズは相変わらずかっこいい。自分はストーンズ・ファンであって本当に幸せだと思う。今回それを実感できたことがとても嬉しかった。


キースの12弦ギターをバックにミックが歌うAS TEARS GO BY。
ミックが歌いながらちょっとだけキースの方を見た。その後皺だらけのミックの横顔アップのシーンが続き、映画を観ている観客は否応なしにミックの深い皺を見つめることになる。だが今回見直してわかったことは、実はこの時キースもミックの横顔をじっと見つめながらギターを弾いていたことだった。カメラのフォーカスはあくまでもミックに合わされているのだが、キースのシルエットもしっかり映っていてその様子がわかったのだ。


mick.JPG


演奏が終わって、満面に笑みを浮かべたミックがキースに近寄っていった。
肩をポンポンとたたきあい、お互いをねぎらっていた。
一瞬のことだったが、そのシーンを目にした時は涙が止まらなかった。







sal_bnr_b.gif

ただ今劇場で公開中です。


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コメント 23

たいへー

彼らは、ブライアン ジョーンズの為に
転がり続けているのかなぁ・・・
ファンをいつまでも魅了するパワーは、
どこから来るんでしょうね。
by たいへー (2008-12-12 16:14) 

りみこ

ずっと同じ時間を過ごして、お互いに尊敬し続けていけることとは素晴らしいことだと思います。
継続していける想い、それはアーティスト達もファンも想いは同じなのかもしれませんね。
かりくるうちの子1周年記念を迎えましたw

by りみこ (2008-12-12 16:33) 

kumimin

こんばんは。
いろんな時期を一緒に乗り越えてきたからこそある輝きですね♪
観たくなっちゃったです♡
やっぱりストーンズはいいなあ♪
by kumimin (2008-12-12 20:32) 

花火師

いいですねー
楽しく見てる姿が浮かびます
by 花火師 (2008-12-13 01:09) 

べっこら

いろいろな時を重ねたからこそ素適な今があるのでしょうね
by べっこら (2008-12-13 21:24) 

ふじのしん

これはたまらん!と気もそぞろになる事が私は多いので、とても共感できました^^。
音楽って楽曲を楽曲として楽しむものですけど、ずっと長い間親しんでいるアーチストや作品の場合は、自分の時間と重なって、音楽以上のものになり得ているような気がします。その意味で長く付き合える音楽に出会った事(出会える事)というのはひとつの財産ともいってもいいくらいの事かなと思ってます。
いいですよね、好きなバンド。
by ふじのしん (2008-12-14 00:30) 

りる

なるほど。秘密なんですねわかります(笑)
SHINE A LIGHT日本でも公開はじまりました!
月末に見に行ってこようと思ってます(^‐^)
by りる (2008-12-15 01:36) 

iharaja

ねぎらうっていい言葉ですね。そういう関係が素敵だと思います。
『SHINE A LIGHT』の上映、今のところ、九州では福岡だけのようです。




by iharaja (2008-12-16 05:44) 

だうん

こんにちは。^^
以前から鯉三がお書きになった音楽、ロックに関する文章を拝見して、鯉三さんは趣味と好きなことがはっきり持っていらして羨ましいなと思っていました。25年も好きで聞いているとは...私はそういう存在がないのでよく分かりませんが、どんな不安な状況でも心の安らぎをくれる存在でしょうね、きっと。
芸術をしている人に少年、少女、子供のような感じをよく受けますね。
そういう人たちが作った世界に入って鑑賞していると、自分も子供の純粋な気持ちに帰って忘れていた何かを感じているような気がします。
by だうん (2008-12-17 11:00) 

鯉三

たいへーさん:
ブライアン・ジョーンズは素晴らしいバンドをこの世に残してくれました。バンド名もブライアンによる命名なので、ストーンズが活動を続ける限り、彼はストーンズ・ファンの中で語り継がれていくことでしょう。

りみこさん:
ロック・バンドは大概エゴのぶつかり合いであっけなく崩壊してしまうものですが、このバンドはそれを乗り越えて、自分たちにしかできない表現方法を見つけ、それに邁進しているのだと思います。なかなかできないことです。その中で彼らが人間的成長を遂げていることも素晴らしいことですね。

kumiminさん:
やっぱりストーンズはいい!映画を観た正直な感想です。不器用で非常に人間くさいけど、なんだか一生懸命で共感せざるをえません。わたしにとってストーンズはエネルギーの源です。

花火師さん:
猫たちもすっかりストーンズの音楽には慣れているものと推測しています(笑)。

べっこらさん:
時をともに重ねて、今も一緒になれるというのは素晴らしいですね。すべての人に共通する価値観だと思います。

ふじのしんさん:
ストーンズはまさしくわたしの財産です。基本は音楽なのですが音楽を通して、いろんなものをもらっているような気がします。
ディラン・ファンの方も結構この映画をご覧になっているようです。ぜひ、ふじのしんさんにも見ていただきたいです。そしてぜひ記事にしていただきたいです。

りるさん:
ぜひご覧になってください。ロックが好きな人には、今の時代に足りないものをこの瞬間にすべて得られる、そんな映画だと思います。ちなみにストーンズとTHE WHOのメンバーは昔から交流が盛んですね。きっとお互い同士のような感覚があるのだと思います。

iharajaさん:
「ねぎらう」は本来仕事の場面で使われる言葉ですが、ストーンズにとってロックすることはやはり仕事でもあるので使ってみました。
福岡ですか。ちょっと遠いですね。でも福岡でのロードショーが好評なら、来年九州の各県でも上映される可能性はありますね。

だうんさん:
わたしはものの好き嫌いがはっきりしすぎていて、それがいいことだとは思いませんが、昔からそうなのでどうすることもできません(苦笑)。趣味などで特別にこだわりがあるのは男性の方が多いような気がします。どうしてかはわかりませんが。
そうですね、芸術の世界に入っている人々は、心が純粋な人が多いですね。わたしもストーンズを聴いている時だけは、きっと高校生の時と同じ気持ちなのだと思います。そして、きっとそれはこれからも変わらないと思います。


まぐわささん、tabbycatさん、nice!をありがとうございます。

by 鯉三 (2008-12-19 00:34) 

BALUO

僕も聴き始めて二十数年。特に『レット・イット・ブリード』と『メインストリートのならず者』は何百回聴いたことか。聴けば聴くほど好きになります。
by BALUO (2008-12-20 01:27) 

鯉三

BALUOさん:
『レット・イット・ブリード』、『メインストリートのならず者』はストーンズのアルバムで最もすぐれた作品ですね。特に『レット・イット・ブリード』は素晴らしいと思います。でもいずれもリアルタイムで聴いたアルバムではないので、映画の中で演奏されていた『アンダーカバー』の二曲目・SHE WAS HOTには激しく反応してしまいました。
by 鯉三 (2008-12-21 00:07) 

蟹道楽

鯉三さんのストーンズに対する思いが十分すぎるほど伝わってくる記事。でした、
このDVDはブートなんでしょうね!
そう思うとなおさら興奮してしまうものです。
>>肩をポンポンとたたきあい、お互いをねぎらっていた。
ああ、こういうシーンってホントに泣けてしまうでしょうね!

by 蟹道楽 (2008-12-21 23:34) 

seita

AppleのiTunes Store USだと$15で売っているので、買ってしまおうかと思ってるところです。ああ、でも映画館で観たいなぁ、渋谷はもう終わっちゃったのかぁ。。
by seita (2008-12-22 00:57) 

鯉三

蟹道楽さん:
ストーンズはちょっと他のバンドと比較ができないのです。
頭を使わずに気持ちと体だけで感じているので、どうしてもこういうめめしい記事になってしまいます。ああ、情けない。でも、これでよし(笑)。

seitaさん:
渋谷での上映は終わったようですね。音響を重視するなら六本木なのでしょうか。ストーンズと六本木って、イメージ的には合いませんよね。できれば、ぜひ劇場でご覧ください。これはやっぱりそういう映画だと思います。
by 鯉三 (2008-12-22 23:49) 

溺愛猫的女人

メリークリスマス(*^∀^)ノ。・:*:・゜☆。・:*・・゜☆

今日、素晴らしいプレゼントが届きました。ありがとうございます(@^∇^@)/
素敵なイブになりますように。
by 溺愛猫的女人 (2008-12-24 20:36) 

sweet_grass2006

鯉三さん、ご無沙汰しています。
今回の記事で、鯉三さんのストーンズへの熱い思いがますます伝わってきました。私は、残念ながらストーンズのことをよく知らないのですが、親友は、こちらでコンサートがあった時に最前列にいて、スタンディングオベーションになった時、ミックからキッスされて舞い上がっていました。彼女にとってはファーストキスの相手がミックだったわけで・・・。彼女にとって、人生の最高の思い出だったはずです。
コメントが長くなってすみません。同じ時を過ごして活動してきた仲間の絆の大切さを感じました。一度私もShine a lightのDVDを見てみたくなりました。

メリークリスマス!
by sweet_grass2006 (2008-12-24 23:10) 

nekotaro

たまらんですねぇ、鯉三さん。。。
この記事を読むだけでも、涙がぁ・・・。
私はSHINE A LIGHTの公開に合わせたように、
仕事がポロポロポロ・・・・・・・。
実はまだ見に行けてないのですぅ(>_<)
by nekotaro (2008-12-25 10:38) 

鯉三

溺愛猫的女人さん:
メリー・クリスマス!おひさしぶりです。
届きましたか?つまらないもので申し訳ありません。どうぞ、おいしい辛くて料理を作ってみてください。

sweet_grassさん:
メリー・クリスマス!おひさしぶりです。
ミックにキスしてもらったご友人は本当にラッキーですね。きっと、そのご友人にとってもローリング・ストーンズは永遠のものになることでしょう。
福岡での上映はもう終わったのでしょうか。DVDもいいですが、ぜひ劇場でご覧ください。

nekotaroさん:
年の瀬ですから、お仕事お忙しいのでしょうね。東京は年明けも上映があるそうです。明るい気分になれるので正月映画にピッタリだと思います。ぜひご覧になってくださいね。

by 鯉三 (2008-12-25 22:40) 

鯉三

COCOさん、nice!をありがとうございます。
by 鯉三 (2008-12-31 00:49) 

鯉三

みーちょんさん、nice!をありがとうございます。
by 鯉三 (2009-01-02 23:53) 

ナツメ

大晦日の六本木、ローリング・ストーンズについては名前しか知らなかったのに、なぜか一人で「Shine A Light」を観ようと思いました。
心打たれました。生き様を見たような,そんな気がしました。
あれから私の頭の中にずっと[As Tears Go By]が流れています。
そして辿り着いた鯉三さんのブログ…はじめまして!

by ナツメ (2009-01-07 01:20) 

鯉三

ナツメさん:
はじめまして。コメントありがとうございます。
ストーンズファンでない方がこの映画を観て「よかった!」という感想をたくさん残していることに、正直驚いています。同時に、自分がこれまでいいと思っていたものが、やっぱり本物だったのだと実感できてとても嬉しく思います。
As Tears Go Byは詞が素晴らしいですね。英語があまり得意ではない自分にもよくわかる簡単なものですが、とても美しく悲しい詞だと思います。若い頃のミックの繊細さがうかがいしれます。

by 鯉三 (2009-01-08 00:11) 

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