SSブログ

梅干の罠 [うまい!]

前回の記事は一ヶ月塩に漬け込んだ梅を天日干しした日に書きました。その後も晴天が続き、三日間の天日干しを無事に終えたのですが、この間ずっと一つの疑問を抱えていました。それはこの後、梅をどうすればいいのかということでした。

ネット上で見つけた懇切丁寧な梅干作りのレシピに従ってここまでやってきたのですが、天日干しをした後の梅の保存方法が自分の考えている梅干のイメージと異なっていたのです。わたしは大阪出身なのですが、かつて祖母が毎年作っていた梅干は甕の中に漬け込まれて保存されていました。つまり天日干しをした後、梅酢に漬け直していたのです。ところが参考にしたレシピでは、天日干しした梅を別の容器に入れて保存するというもので、梅を塩漬けにした際に出てきた梅酢はもう使わない(あるいは別の用途に)ということだったのです。色は塩漬けの途中で紫蘇を入れていたので梅も赤く染まっていますが、干しあがった梅をそのまま瓶詰めしてしまうと、しっとり感がなくなってしまいます。それでは自分の知っている梅干と大きく異なってしまうのです。

実家の母に電話してみました。するともうすでにブログを見ていたようで、“梅を干したりなんかして、何してんのやろかと思った”と言うのです。母も昔梅干を作ったことがあるようで、天日干しなどせず、そのままずっと漬け込んでおくとのことでした。これについてはウィキペディアなどを読むと、ずっと漬けたままのものは「梅漬け」といって、梅干とは別物として扱われているようです。でも、どうも関西ではその梅漬けも梅干と呼ばれているような気がするのです。

さらに、青森出身の同僚Kさんに地元の梅干について尋ねたところ、天日干しした梅の種を一つ一つ取り除き、それを紫蘇の葉で一個一個丁寧にくるんで、また梅酢に漬け込むというのです。これには本当に驚かされました。日本人が海外に出ると必ず懐かしくなる代表的な日本の食べ物・梅干が、地域によってこんなにも違うものだったとは...


今回の「極私的梅干騒動」で思い出した本があります。
以前iharajaさんが送ってくださった本です。



天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線 (新潮文庫)

  • 作者: 野瀬 泰申
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/12/20
  • メディア: 文庫



この本はおもしろいです。
食習慣について自分が当たり前だと思っていたことが、どんどんと覆されていくのです。
ショックを通り越して、気持ちいいくらいでした。




さて、我が家に取り残された梅干たちですが...




ume1.JPG


結局、梅酢に戻さずにそのまま保存するものを一つ(関東風?)、再び梅酢に漬け込んで保存するものを二つ、といった感じで瓶詰めしました。実は梅酢に戻さないものの方が楽しみだったりしています。熟成しておいしくなるのは半年後とのことです。


うーん、待てないかもしれません。


皆さんのお宅ではどんな梅干を食べていらっしゃいますか?


コメント(22)  トラックバック(0) 
共通テーマ:グルメ・料理

コメント 22

蓼科

当然、梅干しは土用のころに干して梅酢にもどします
乾燥したままの梅干しは知らないですね
でもスーパーの駄菓子コーナーに干し梅は売ってますね
熱中症対策に持ってるといいみたいです
近所のテニス部キャプテンの女子中学生にききました
私も夏になると買います
by 蓼科 (2009-05-15 23:19) 

たいへー

今は亡き婆さんが、小梅の焼酎漬けを作っていた。
シソの葉なんかを入れてね。
カリカリっと音がする、固めのウメボシです。
by たいへー (2009-05-16 07:55) 

ゴーパ1号

家の作り方は、庭の梅を穫って洗って塩で漬けて梅酢が上がるのを待って
(梅酢は大根をつけたりするのに使う)
土用干しにして、保存という方法です。
なので、ちょっと乾涸び系かな^^;
もっとフワフワのを作ってみたいです^^
by ゴーパ1号 (2009-05-16 09:10) 

りる

梅干し!毎年梅酒は作っているのですが、
梅干しはまだ作ったことがないので、
今年は私も挑戦してみようと思っているのですが、
地域によってこんなに違いがあるのですね。
うちの母方の祖母(東京出身)が作っていたのも、
梅酢に漬かっていないタイプでした。
酸っぱいというよりは塩辛いという感じでしょうか。
祖母が亡くなる前に作り方を教わっておけば良かったです…。
by りる (2009-05-16 10:21) 

shiela

鯉三さんの記事を見てから、梅酒&梅干しを作りたくて、作りたくて。
祖母が毎年漬けてましたが、たしかしっとりしてたもの(梅酢に戻したもの?)だったと思います。あぁ習っておけば・・・
半年後が楽しみですね♡
ところで、こんなサイトを見つけました↓
http://www.pickled-ume.com/index.html
(実は知っている八百屋さんだったので、またまたびっくり)
色々な「梅レシピ」が紹介されていて、なるほど!と思うことしきり。
今年は間違いなく、梅酒は作ること決定です。
by shiela (2009-05-16 13:39) 

鰯母

梅干も地域によって作り方が違うのですね~。
私は作ったことがないので全く知りませんでした。
すごーく気になるとは思いますが、半年、ガマンするのですよ!(笑)
食べ比べが楽しみですね。
by 鰯母 (2009-05-16 15:49) 

kumimin

私は梅酢に戻しますよ。そうするとやわらかくふっくらと仕上がります。半年後が楽しみですね=^^=
by kumimin (2009-05-16 17:48) 

Labyrinth

(^_^)ノ こんにちは。
私、梅酒好きなので (^¬^)じゅるっ 梅酒は喜んで作りましたが・・・(笑)
梅干しは難しいかな?という先入観があって作ったことがありませぬ。
マメな方から頂いたりしましたが、やはり塩気が強すぎですな。(爆)
「梅林堂」のが一番かと? d(≧▽≦) お高めですけどっ
by Labyrinth (2009-05-16 17:57) 

べっこら

うちの祖母は漬け込み梅酢が上がってきたら干して
梅酢を少なくしてしそともう一度漬けていましたね。
干したままのもありましたけどね。
私は梅干は漬けた事がありません
梅酒は作った事がありますけど・・・・・
飲まずにプレゼントしたら美味しかったと喜ばれました。
by べっこら (2009-05-16 23:34) 

iharaja

本当に、梅干一つをとっても所変わればと思います。
我が家も梅酢に戻します。
最近は家で漬ける事はめっきりなくなり、梅漬け用に加工された梅酢入りの紫蘇の袋を毎年買い込んでいます。
漬けるためではなく、実は、この紫蘇と梅酢が好きで、ご飯にかけたり、お握りにしたりするためです。
by iharaja (2009-05-17 08:48) 

STEALTH

昔は祖母が一所懸命漬けておりまして、そいつを弁当に2ついれていくのが楽しみでした。(祖母は高雄から引き揚げ者でした)
懐かしいな。
最近は紀州のなんとか、てのを買っちゃうことが多いです。
便利ですけど、風情はなくなりましたね。
私も見習って自分でやってみましょうかねー。
by STEALTH (2009-05-17 11:23) 

ふじのしん

梅酒は子供の頃に母が作っているのを見ていて、自分でも作ったりしますが、梅干しはどうやって作られるのか?という事は考えた事もありませんでした。自分が普段食べているものなのにちょっと恥ずかしい事です。。。

天ぷらにソース!とはびっくりです。卵焼きの味付けとか、鳥の唐揚げの醤油?ソース?などはよく聞く話しですけど・・・。地域や家庭による習慣の違いって、何でそうなったのか考えると面白いですね。
by ふじのしん (2009-05-17 11:54) 

将軍

東京でしじみ(!)という猫と暮らす四畳半さんのサイトの
自家製梅干のページを見て、興味を持ちつつ
手間がかかる・・・と思っていました。
日本ではこれから漬け時がやってくるので、どぶろくみたいに
また鯉三さまの真似して作ってみようかなぁ?


by 将軍 (2009-05-17 20:56) 

mito_and_tanu

こんばんは
拝見しているだけで梅干が食べたくなりました。
ついでによだれも出ました(笑)。
自分で作った事がないのですが、実家で昔作った記憶では、梅酢に使っていたように思います。関東だけど。
by mito_and_tanu (2009-05-17 23:55) 

蟹道楽

僕が子供の頃、母が梅干を作っているのを良く見てました。
細かい部分は確かではないでしょうが、梅干を塩漬けにした後、天日干しして(別に天日干しの必要は無いが、色が良くなると聞いた記憶があります。)そしてまた元に戻して漬けこむという方法だったような記憶があります。たぶん鯉三さんのおばあ様と同じ方法だったのでは・・・
>>天ぷらにソースをかけますか?―ニッポン食文化の境界線
面白そうですね。
何年か前、ヘルメスソースの記事を書きましたが、僕のルーツはソースです!!!
by 蟹道楽 (2009-05-18 01:06) 

花火師

梅干しといわれるだけでよだれが・・・
梅干しはほとんど日本の全国で作られてるみたいですよね
そりゃ色々作り方もあるはずです
by 花火師 (2009-05-19 02:25) 

okinawa-fan

うーん、実家にいるときには庭に梅の木があったので
よく干してから・・・とか梅酒造ったりしていたのですが
マンション暮らしの今は買ってまでは作っていません。
先日料理番組で見た鰹節をまるごと2本リカー漬けした
みりんの様な調味酒を作ってみたいと思うこの頃です。
おいしい梅干になりますように!
(例の島の夕日は鯉三さんの住むところに
沈んでいくのだそうです。実際は雲の中でしたが)
by okinawa-fan (2009-05-22 00:30) 

ぐれこ@Japan

半年後、遊びにいきまーす!!!!

by ぐれこ@Japan (2009-05-26 15:32) 

gillman

そういえば、以前台北に行った時梅干しを買って来ました。かなり干からびて潮が浮き出しているやつでしたが、ちぎってお茶漬けにするとおいしかったですよ。

by gillman (2009-05-28 09:14) 

鯉三

蓼科さん:
やっぱり漬け戻すのですね。今は紀州の梅干が全国区のブランドになっているので、関東の梅干は少数派になのかもしれません。それにしても梅干の効用はいろいろあるのですね。

たいへーさん:
あのカリカリの小梅もいいですね。おやつ代わりにもなるし、もちろん酒のあてにもなるし。ちょっと疲れた時に口に含むのもいいですね。

ゴーパ1号さん:
もし地元に住んでいたら、こういう全国の梅干事情は知らないでいたと思います。ネットを通じていろんなことを学べることは素晴らしいですね。半年後に関東の梅干を賞味できることが楽しみです。

りるさん:
梅干はスーパーなどで簡単に手に入りますからね。わたしもこれまで自分で作って見ようなどとは思ったことなどなかったのですが、やはり海外にいると母国の食べ物が恋しくなるようです。

shielaさん:
ご紹介いただいたサイトを見て驚きました。すごいですね、梅って。いろんな用途があって、とても興味ひかれました。
梅酒は梅干に比べて作るのがそんなに難しくないし、食前や寝る前の一杯などに薬用酒のような効用があるようなので、常備しておきたいですね。

by 鯉三 (2009-05-28 15:51) 

鯉三

鰯母さん:
今回初めて作ったのですが、ネット上にはいろんな情報があふれていて便利な世の中だなと感心しました。いろいろと勉強になってよかったです。梅干は半年我慢してみます。

kumiminさん:
やはり関西風ですね。たしかにあのしっとり感は梅酢に戻さなければ実現できないものですね。

Labyrinthさん:
確かに梅干を作るのは難しいという先入観がありますからね。でも天気次第だと感じました。今回は天気に恵まれたので成功したのだと思います。「梅林堂」の梅、どんなお味がするのでしょう。

べっこらさん:
関東は一般的には梅酢に戻さないようですね。そういう梅干を食べたことがないので、半年後が楽しみです。梅酒をプレゼントというのもいいものですね。

iharajaさん:
梅酢の利用法もいろいろあるようですね。わたしはキュウリとナスを梅酢に浅く漬けて食べてみました。なかなかおいしかったです。そうか、おにぎりにするのもいいですね。また来年やってみたいと思います。

STEALTHさん:
そうでした、おばあさまは台湾に住んでいらっしゃったんですよね。宜蘭の鴨賞の記事も読んでいただいてましたね。
紀州の梅干が全国区になるとその地方地方の梅干がなくなってしまいそうで、それはとても残念なことです。

ふじのしんさん:
初めて梅干を作ってみたのですが、なかなか楽しかったですよ。わたしの場合、完全に趣味なので作らなければというプレッシャーがなくて気楽です。
「天ぷらにソース」ですが、関西では前の晩に揚げた、冷たくなった天ぷらにソースをかけて食べる人が多いのです。関西、特に大阪はソース派の人が多いです。

by 鯉三 (2009-05-29 22:47) 

鯉三

将軍さん:
東京にしじみという猫と暮らす...!それはまたおもしろそうですね。一度検索してみます。梅干作りは天気次第ですね。決して難しくはないのですが、この季節カビが生えやすいのが問題ですね。ぜひ作ってみてください。

mito_and_tanuさん:
すっぱい梅干を時々無性に食べたくなることがあり、今回自分で作ってみました。関東でも梅酢に漬けるのと漬けないのがあるのですね。

蟹道楽さん:
そうですね、関西は大体梅酢にもどして漬け込んでいるようですね。だから関東の梅干を食べてみたいと思うようになりました。
大阪は日本のウスターソース発祥の地ですからね。やっぱりソースの食文化が根付いているのでしょう。お好み焼きやたこ焼き、いか焼きなどの粉物が多いのもうなずけます。

花火師さん:
日本って狭いようで、縦に長くていろんな文化があるものですね。

okinawa_fanさん:
かつお節をリカーに漬けこむのですか!それはさぞかしまったりした味のみりん(?)が完成するでしょうね。ちょっと興味をもちました。
G.Wの旅行記事、とても楽しく拝見しました。ますます沖縄へ行ってみたくなりました。

ぐれこさん:
半年後(?)ですか。待ってますよ!

gillmanさん:
台湾で売っているものは酸梅というもので、塩気はほとんどありません。ドライフルーツのようなものですね。温めた紹興酒にこれを入れて飲むのがおいしいと聞きます。

by 鯉三 (2009-05-29 23:08) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

空梅雨?ライチと肉粽 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。