この人この曲(5)Helen Merrill with Clifford Brown:Don't Explain [音楽]
学生時代、思いを寄せていた女性がプレゼントしてくれたのは、一枚のジャズのレコードでした。80年代の流行に敏感に反応していた当時、ジャズなどという音楽は、自分の生活にはまったく無縁のものでした。彼女がジャズのレコードを...その時は戸惑いが先立ったものです。
「ジャズが好きな人には、こだわりがある」
彼女の解説、そこに込めた思い入れは間違いなく本物でした。わたしは彼女の話を聞きながら、何かわからないまま、これはすごいものなのだと暗示をかけられ、プレイヤーのターンテーブルを回したものです。
ヘレン・メリルの声はとてもハスキーで、一般的なイメージで言われる女性ヴォーカリストの澄んだ歌声ではありませんでした。でも、「ニューヨークの溜息」と称されたこの歌声は紛れもない、ヘレン・メリルその人の人生の奥底から立ち上ってくる声でした。そこに寄り添い、しっかり彼女を支えるクリフォード・ブラウンのトランペット。ヘレン以上に歌いたかったにちがいない、ブラウニー(クリフォード・ブラウンの愛称)の素晴らしい演奏。
このアルバムの一曲目は、あのビリー・ホリデイの作曲によるものです。ビリー・ホリデイが晩年、この自曲を歌う姿、声はとても痛々しく、見ていて聴いていて本当につらいものでした。
しかし、ヘレン・メリルはまったく違う唱法で、この難しい曲に果敢にアプローチしています。しっとりと歌い上げ、そしてブラウニーとまるで恋をしているような濃密さで、ストレートなやり取りをしているのです。
ジャケットも、奇跡的に素晴らしい。
一度は部屋に飾ってみたい一枚です。
ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン(紙ジャケット仕様)
- アーティスト: ヘレン・メリル, クリフォード・ブラウン
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2004/02/21
- メディア: CD
迫力あるジャケットですね。
歌声がジャケットから聞こえてそう♪
気持ちや思い入れがある曲に、共感できる事、そして、気持ちが重なる事って、世界共通ですからねん♪
どんな事でも、人種問わずに共感できる事が、歌にはありますよね。
曲には、そんなPOWERが込められてるので、そんな歌を歌っている人って、素直に尊敬します。
by (2006-08-17 02:36)
鯉三 さん、素敵な女プレゼントをきっかけに
学生時代からずっとジャズを聴いているんですね^^いいお話です♪
ラー君を横に置いて晩酌しながらジャズを聴いている姿を
想像しちゃいました^^;
by maron02 (2006-08-17 11:46)
素敵な話ですね~。なぜか私が思わず頬を赤らめてしまいそう(笑)
大切な人から素晴らしいものをもらったのですね!
きっと自分の世界を持った素敵な女性だったのでしょうね。
by 鰯母 (2006-08-17 18:33)
アラやだよ(爆)!
<「鯉三 さん、素敵な女性からのプレゼントをきっかけに・・・」と、
書いたつもりがぁーーーーーー^^;すみません^^;~
by maron02 (2006-08-17 20:20)
鮒三さん、初めまして。
東京在住の会社員をしている、はると申します。
9月に初めて台湾へ旅行する予定なので、ネットで
情報収集をしているところに、このブログへ辿りつきました。
私も、動物もお酒も植物も大好きです(笑)
初めての台湾を今から楽しみにしてます。
これも何かのご縁、これからも楽しく読ませて頂きますね。
by は る (2006-08-17 21:36)
学生時代に好きな女性がJAZZに興味を持っていたら・・・。戸惑ってしまう気持ちはわかるような気がします(^^。
JAZZを聴き始めて間もない頃、初めてこのレコードを大きめの音量で聴いた時、それまで(他のジャンルのレコードでは)聞いた事のない突き刺さるようなトランペットの音にビックリしました。においたつようなヴォーカルと共に、「JAZZの音」の鮮烈な記憶として残っています。
by Buji (2006-08-17 22:00)
鯉三さんの、熱い想いが伝わってきましたよ。
キッカケはどうであれ、好きになてしまえば、
女も音楽も同じです。 (と、思うのです)
心に響くかどうか・・・ これは、男の勝手ですかね。
by たいへー (2006-08-17 22:00)
先日は、ウチのネコ帰還の記事にあたたかいコメント
本当にありがとうございました!
今では何事もなかったかのように、
堂々と横座りですよヽ(`Д´)ノ
外傷としては、犬歯が半分欠けていたのと、
肉球の擦り傷位でなんとか治まりました。
ビリーホリディなら何枚か持っています。
by meg-eddie2 (2006-08-17 22:49)
こんばんは。
大人〜な感じの声ですよね。お酒に合いそう!
基本的に日本人の歌が入った曲はあまり好きではないのですが、外国の人のは聴いてしまいます。言葉ではなくて感じのいい音として聴けるからかもしれません。(語学が堪能じゃないから)
では、思い出のかたに思いを馳せながらラーさんと晩酌を楽しんでください!
by くみみん (2006-08-17 23:44)
ビッケママさん:
本当に迫力あるジャケットですよね。色がまたいいです。音楽の好みというのは理屈では説明できないし、自分の好みが人の好みと100%合致することってありませんね。それでも、お気に入りが同じだった時の喜びは格別なのです。それだけは世界共通だと思います。
まろんさん:
あはは(笑)。一瞬凍りつきましたよ。まさか、まろんさんが...って。
でも、ご安心ください。すぐにわかりましたので。おっしゃるとおりです。これがきっかけになったのです。でも残念ながらこのアルバムはLPなので、日本の実家に置いてあります。
鰯母さん:
そんなあ、鰯母さんが赤面してどうするんですか(笑)。今はいい思い出です。短いつき合いでしたが、いろいろ教えてくれました。その出会いがあって今の自分があることに、感謝の意味を込めて書きました。
は る さん:
ご訪問いただいた上、コメントまでいただいて恐縮です。
台湾へいらっしゃるのですか。わたしのブログは台湾紹介ではないので、あまりお役に立てないかと思いますが、もし台湾旅行についてご不明な点がありましたら、どの記事でも構いませんのでお気軽にコメント欄をご利用ください。
ふじのしんさん:
ふじのしんさんとわたしは、世代的に近いのかもしれませんね。
>突き刺さるようなトランペットの音にビックリしました。
わたしもそうでした。ヘレン・メリルのヴォーカルの後に続くブラウニーのペットはいきなり高音で入ってきますね。しかも全くぶれがない。神業です。なのに、わかりやすく、とても美しい。ヘレン・メリルの他の作品がパッとしないのは、やはりこのアルバムのブラウニーが素晴らしすぎたのだと思います。
たいへーさん:
いいコメントをありがとうございます。
>好きになってしまえば、女も音楽も同じです。
まったく同感です。
megさん:
ああ、やっぱりちょっと怪我をしていたのですね。でも、今は当たり前のようにmegさんのそばにクロちゃんがいるのですね。本当によかったです。わたしも自分の立場に置き換えたら、とても耐えられない話でしたから(きっと皆さんもそうだったのでしょうね)。
ビリー・ホリディ、わたしも好きです。
kumiminさん:
そうですよねー、大人の女の人の声ですよね。
日本のテレビのCMでも、よく使われていますが、全然色あせないですね。「思い出のかた」とは大学を卒業後一度も会っていません。懐かしく思い出すことはありますが、今会いたいというのではなく、あの時会えて本当によかったと思っています。
社長さん、nice!ありがとうございます。
by 鯉三 (2006-08-18 03:17)
ジャズはラジオ以外では聴いたことがありませんけど、記事を読んで、聴いてみたいなと思いました。
ジャケットを飾り、鯉三さんが、ヘレンメリルを、グラス片手に聴き、そのお隣にはラー君が静かに眠っている・・・そんな情景を思い浮かべてみました。
by sweet_grass2006 (2006-08-18 13:19)
sweet_grass2..さん:
ジャズは畏まって聴く音楽ではないので、何かをしながら流すのがいいと思います。もし、「あっ!」と思うところがあったら、今度はじっくり聴くと何か発見があるかもしれません。でも、どんな音楽もそういうものですよね(笑)。
by 鯉三 (2006-08-19 01:25)