「シャイニング」の衝撃 ③ [映画]
キューブリック監督の最もセンセーショナルな作品は「時計仕掛けのオレンジ」だ。
その暴力的な描写は見るものを唖然とさせたが、同時に近未来を思わせるシュールなファッション感覚と映像のとりこになった人も多いだろう。わたしはとりこにこそならなかったものの、スタンリー・キューブリックという映像作家の特異性を大いに実感した。それは「シャイニング」において更に再確認させられることになる。
映画の中の恐怖を呼び起こすさまざまな仕掛けは、時にシュールでありユニークでもある。
同じ文句を延々とタイプした原稿の束。
狂気に触れる瞬間でありながら、なぜか笑いそうになるシーンだ。
クライマックス、ホテルに巣食う亡霊たちがそこかしこに現れる。ところが彼らは人を驚かすために現れたようには見えない。それどころか、ふざけているように見える。気ぐるみの男(?)と二枚目の男が抱き合う。額から血を流した男がウイスキーの入ったグラスをかかげて微笑む。まったくふざけていて、シュールなのだが、そのわけのわからなさが言いようのない恐怖を誘う。
こういう映像はどこかシンディ・シャーマンの写真に似ている。
シュールで不気味な感覚。ユニークでありながら、取りつくことができず奈落の底に落とされるような怖さ。
これこそ、映像作家キューブリックの真骨頂であることは間違いない。
次回は個人的に気に入っている場面の一つを紹介します。
はじめまして、hamaと申します。
鯉三さんのブログに出てきた映画の話で「シャイニング」と「ザ・コミットメンツ」は原作は過去に読んでいるのですが映画のほうはまだ観てないです。
これを読んで「シャイニング」、さっそくレンタルしに行きたくなりました(笑)
キューブリックといえば、学生の時に観た「時計仕掛けのオレンジ」が衝撃的で「シャイニング」を遠ざけていた原因のようです。
(「アイズ・ワイド・シャット」はなんだかなぁ?でしたが)
by hama (2006-03-07 22:54)
nice!、ありがとうございます。
「シャイニング」「ザ・コミットメンツ」ともに、原作を読んでいません。今度読んでみようと思っています。原作と映画は本来別物だと思いますが、いい原作、いい映画であればどちらも触れておきたいものですね。珍しいものでは「蜘蛛女のキス」はたしか映画が先であったような…。とても印象に残った映画です。
「時計仕掛けのオレンジ」は高校生の時に見ました。正直つらかったです。当時はまだ子供でしたから(笑)。
by 鯉三 (2006-03-08 00:30)
「蜘蛛女のキス」! ←このタイトルを久しぶりに目にしてすごく嬉しくなりました!
10代のころ、その物語世界に引きずり込まれるように(笑)何度も繰り返し見ました。妖しくも切ない物語ですね。
これは原作も後からですが読みました。映画も原作も両方とも素晴らしいという好例ですね。
by hama (2006-03-08 09:16)
「蜘蛛女のキス」、不思議な映画でしたね。
主演のウィリアム・ハート(ホモの男役)の演技がよかったです。そして政治犯の男を演じた俳優さん、名前は忘れましたが、「アダムス・ファミリー」のお父さんでしたね。残念ながら10年ほど前に亡くなられたはずです。
by 鯉三 (2006-03-08 11:22)