そして彼女はまた泣いた 「緑の光線」 [映画]
フランス映画を見ていてよく思うことがあります。
「しかしまぁ、よくしゃべること...」
登場人物は老若男女を問わず、しゃべりっぱなし。
こちらはフランス語がわからないので、ひたすら字幕を追いかけるしかありません。字幕も必死に彼らの会話についていくのですが、読む側は更に必死で、劇場で思わず声を出して読んでしまったこともあるくらいです。恥ずかしいのなんのって...
エリック・ロメール監督「緑の光線」も会話のスピードがとても速くて、初めて見た時は最初「これは、まいったなあ」と思いました。しかし、夏のヴァカンスを迎える人々の会話はとても単純で、一言一句を追いかけるようなものではありません。次第に会話の内容は勝手に耳に流れ込むようになり、関心はもっぱら主人公の女性・デルフィーヌだけに向けられるようになっていきました。
このデルフィーヌ、本当に不器用な人で、見ていて痛々しいくらい。
性格も素直とは言えないし、思うようにいかないとすぐ泣き出し、周りの人々の気遣いすら振り切ってしまう始末。普通に「ただの困ったさん」なのですが...
それでもなぜか物語終盤には、「よし!ここまできたら、とことんいけよ!」と、見る側もすっかりデルフィーヌのひねくれ具合に感化されていました。そして、あのラストシーンへ...
出会った男性がハンサムでなくても、相手の読んでいる本が気になった(実はそんなことあってはいけないようにも思うけど)ところから出会いが動き出すというのは、このデルフィーヌ、そしてこの映画を見て感情移入をしてしまった、おそらく同じように不器用な人には納得だと思います。わたしがそうでした。
映画のタイトルでもあるラストシーン。
その感動は、これからも語り継がれていくことでしょう。
宜蘭・北關から亀山島をのぞむ
追記:「緑の光線」のDVDは、他の作品とのセット売りになっており、とても高価なのでおすすめできません。いわゆる巨匠と呼ばれる映画監督の作品は最近ほとんどBOX版。単純に個々の作品を楽しみたい者には非常に不合理だと思います。
恥ずかしながらフランス映画は見たことがありません。
なんだか眠くなりそうで…(勝手な先入観)
でも今回ちょっと見てみたくなりました。
大人になったらフランス映画も楽しめそうな気がしてきました。
by 鰯母 (2006-04-24 17:05)
nice!なんかいただいて、恐縮です。
学生時代にサークルの後輩たちを引き連れて、この映画を見に行きました。みんなデルフィーヌに腹を立てるだけで、とても不評でした。フランス映画もいろいろありますが、ある意味で典型的なフランス映画であることは間違いないと思います。
by 鯉三 (2006-04-24 22:38)