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この人この曲(8)オフコース:哀しいくらい [音楽]

オフコースの歌はめめしい。

自分自身、別にマッチョな男になりたいと思ったことはないし、どちらかというと、そういうものとは反対の道をここまで歩んできたような気がするけれど、それにしてもオフコースの歌だけは、なよなよしすぎていると思う。

 

中学生の時、クラスメートにオフコースのLPを借りた。「さよなら」「Yes No」がヒットして、すでにオフコースはメジャーになっていたけれども、軟弱なオフコースの曲など、自分からすすんでじっくり聴こうと思ったことはなかった。

 

友人から借りたアルバムは『over』。

音楽に興味を持ち始めたわたしに、両親はサンスイのミニコンポを買ってくれた。当時としては最新の機能を兼ね備えたステレオだった。なにより、スピーカーから飛び出してくる音がとてつもなく素晴らしかった。

音が素晴らしいというのは、どんなレコードを聴いても味わえるというものではない。そのことを強く感じたのがこの『over』だった。一曲目のオーケストラによる「心はなれて」の美しさには涙が出た。泣いているところに、いきなり“ジャラーン!”とギターで入ってくる「愛の中へ」は更に感動的だった。

このアルバムには、数年前にテレビのCMで使われて有名になった「言葉にできない」も収録されているのだが、わたしがもっとも好きな曲は「哀しいくらい」という曲だ。

この曲は地味ながらも、小田和正のナイーブな感情がとてもストレートに表現されていると思う。詞はやっぱりめめしいのだが、あまりにもそれが赤裸々なので、思わずそのままずっと聴きいってしまう、そんな曲だ。ギターの“ジョッ、ジョッ、ジョッ”という音もすごくいい。

『over』と出会ったことがきっかけで、洋楽に目覚めていったような気がする。それほど、ひとつひとつの音に魅せられた作品だった。同時に音楽は詞も大切なのだなと思った。アーティストの思いが込められた詞は、言葉の違いを超えて人に訴えかけるものがあるのだろう。いずれにしても、そういうものがいい音楽であることは時代に関係なく同じことなのだ。

 

over(紙)

over(紙)

  • アーティスト: オフコース
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: CD

 


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コメント 17

たいへー

若い頃には抵抗があった曲が、
今になって心に沁みる事ってありますよね。
自分がまだその意味を理解出来なかったのでしょう。
リスナーも、成長するんですよ。
by たいへー (2007-03-30 09:10) 

Buji

高校の頃、週刊プレイボーイ誌の記事に「オフコースの歌は男らしい」という記述があって、それを読んでからは「好き」とか「哀しい」という言葉を臆面なくいえる事の強さ(=男らしさ)をオフコースの歌に感じてました。

年末に実家からオフコースのLPを何枚か持ってきました。時代性を感じる歌詞には聞いていて気恥ずかしい部分もありますが、昔感じた”男らしい部分”については、変わる事のない強さをやっぱり感じてしまいます。強さ(あるいは弱さ)を恐ろしくリアルに表現していると思います。

「OVER」は同じく高校の頃に友人宅のオーディオセットで初めて聞いて、「愛の中へ」のスコーンと抜けるドラムの音にビックリ。いい音ですよね。
by Buji (2007-03-30 12:20) 

ゴーパ1号

こんにちは。
邦楽って、無性に聴きたくなるときあります。
たいへーさんと同じく、
歌詞が沁みてきてはじめて良さがわかったり。
by ゴーパ1号 (2007-03-30 14:11) 

purimaro

私はどちらかというと、歌詞から入ってメロディーが気に入ったらその曲を
好きになるタイプなので、邦楽の方がグッとくる曲が沢山あります^^;
話は全く変わりますが(大汗、サイドバーのラー君のお髭が長いのですね!
チャームポイントの一つ^^
by purimaro (2007-03-30 15:19) 

sweet_grass2006

お~、オフコースを取り上げて下さったのですか、嬉しい嬉しい!

私は、コンサートにも3回ほど足を運びましたよ。よく女々しいと言われますが、メロディは純粋、唄はシンプルを心がけてる気がします。だからなのか知りませんが、胸にじーんと来る歌が多いです。私は言葉にできないが特に好きです。

今は、K.ODAのCDをよく聞きますよ。高いキーが出なくなれば、もしかしたら引退するかもしれませんが、今は若い世代を育てたいと思って活動されている姿が好きです。

ところで、i podにインポートしたら、声の質が変わってしまって、別人の声になる人のことを以前お話しましたが、それは、O.ODAの声です。小田さんは台北でもコンサートを開き、大人気だったそうです(^^)
今日はいっぱいコメント書きました(*^.^*)
by sweet_grass2006 (2007-03-30 21:31) 

iharaja

お~、私はオフコースよりもサンスイに反応してしまいましたm(__)m
アンプを持っていましたが、あれ、どうしちゃったかなぁ~。
ニューミュージック・・・そんな音楽のジャンルわけをされた時代かな。
by iharaja (2007-03-30 22:21) 

りる

私もサンスイのミニコンポでしたよ!
カセットデッキが壊れて他メーカーのカセットデッキに買い替え、
CDプレーヤーを買いたしたりして組み合わせは変わりましたが、
スピーカーは今でも実家にあり、ちゃんと使えるはずです。
オフコースは、隣の席の男子がオフコースの大ファンで、
レコードを貸してもらった思い出があります(^‐^)
by りる (2007-03-30 23:38) 

鯉三

たいへーさん:
ありますね、そういう曲。今になってよさがわかるというのも悪くないですね。これだから、音楽は楽しいのでしょう。

ふじのしんさん:
>「好き」とか「哀しい」という言葉を臆面なくいえる事の強さ(=男らしさ)

そういうのが日本人男性はだめなんでよね。せめて歌の世界だけは正直にあるべきですよね。歌でかっこつけるというのも、あまりかっこよくない話ですし。この頃のオフコースの録音技術は抜きん出ていますね。大間さんのクリアなドラミングは「YES YES YES」にも引き継がれています。

ゴーパ1号さん:
そうなんです。ここ最近、邦楽聴きたいモードだったんです。勢いで記事まで書いてしまいました。ふじのしんさんがおっしゃるように、歌詞は時々恥ずかしくなるのですが、胸に沁みた時はちょっと困ります。

Balloonさん:
わたしは関西人の性なのか、歌詞がストレートにくると恥ずかしくて仕様がないのです。カラオケで歌っている時は別なんですけどね(笑)。
ラーのひげに気づいていただけましたか。とても長いんですよ。はい、これはラーの特徴の一つです。

sweet_grassさん:
小田和正は台湾でもよく知られています。とても感動的なコンサートが実現したようですよ。わたしはソロの小田さんは全然聴いていません。記事の中では、詩の内容がめめしいことを悪く書きましたが、実はそのめめしいところが真骨頂だと思っています。ポジティブなオフコース、小田和正は、わたしにとっては必要がない要素なのかもしれません。

iharajaさん:
まさに、ニューミュジックだったんですね。チューリップもついに解散するようです。この時代の音楽は詞がとてもいいなと思います。わかりやすいし、ストレートだし。

りるさん:
サンスイのミニコンポでしたか!わたしのもデッキがすぐに故障したのです。やっぱり頻繁に使っていたからかなあ。それともサンスイはデッキ部門が苦手なのかも...。ひょっとして、りるさんもオフコースの世代なんですか?
by 鯉三 (2007-03-31 01:29) 

花火師

オフコースですか・・・大好きです。
今もiPodの中に入れてあります。好きな曲はたくさんありますが、1979年の、愛を止めないで、さよなら 1982年の言葉にできない
が特に好きですね。世代が似てる・・・(笑)
ちなみに、アリスも世代です(笑)
by 花火師 (2007-03-31 02:48) 

蟹道楽

Three and Two、We are、Live、Overのアルバムは結構聴きました。
一番聴いたのはWe areかな。
鯉三さんのおっしゃる通り、この頃のオフコースはドラムのキレを強調した録音で、音数はそんなに多くないのですが、広がりのある分厚い感じの音作りをしていたように思います。
サウンド的に非常に気持ちの良い音でした。
Overが発売された時の印象は、ストリングスが多すぎる!と感じましたが後から聴いてみるとかなり緻密で凝った音ですね。

サンスイは学生の時、プリメインアンプでサンスイを愛用しておりました。

いやいや、懐かしいですね~
by 蟹道楽 (2007-04-01 01:56) 

鯉三

花火師さん:
「愛を止めないで」も好きな曲です。懐かしいですね。アリス...これはちと古いのですが、小学校の時に聴いていました。「遠くで汽笛を聞きながら」はカラオケでよく歌っています(笑)。

蟹道楽さん:
『Three and Two』『We are』『Live』は『Over』から逆戻りして聴きました。アルバムとしては『We are』が一番完成されているような気がします。特にB面の最後の二曲は小田和正の歌声に鳥肌がたってしまいました。この頃の曲は、小田が表現したい美意識がもっとも反映されていたと思います。オフコース解散後のソロの作品や映画まで作ってみたりする自意識過剰な活動には全く共感を覚えません。
by 鯉三 (2007-04-01 20:41) 

symphony

なんか、世代を感じます(笑)いや、、同じという意味ですよ~(*´ゝ艸・`)
買うほどではありませんが、ドラマの主題歌になる事が多いので
聞くと、いろいろに懐かしさを感じますね~♪
小田さんの声はいつ聞いても変わらず、静かながら熱があって好きです。
by symphony (2007-04-01 20:45) 

鯉三

ええっ!?勝手ながら、symphonyさんはわたしよりはずっとお若いと思いますよ。まさか、同じ世代だなんて、そんな...
小田和正のあの声は永遠であってほしいものですね。
by 鯉三 (2007-04-01 22:05) 

okinawa-fan

うーん、そう来ましたか・・・。実は私は二人時代からのファンです。
(つまり、子どもの頃からの。早熟でした、はは)
鯉三さんとおなじように、ファンという枠からはずれても、
「We are」「over」は良質なアルバムだったと思います。
特に、「over」には50年先まで残りそうな曲もあると感じています。
アルバムの構成としては前者のほうがぐっときますけれど。
オフコース、特に小田さんの音作りのこだわりは日本ではNHKが
取材するほどだったのですが、素材をロスに持って行ってパートナー
にミキシングしてもらう、という当時では先駆的なものだったようです。
今では小田さんは次の世代にバトンを渡す活動をしているようです。
もちろん、現役ではありますが、良い歌は良い、と自分の曲にこだわらず
若いアーティストと共に歌ったりしています。
by okinawa-fan (2007-04-05 15:29) 

鯉三

okinawa-fanさん:
二人時代からのファンでしたか!それならもっと気を入れて書くべきだった(笑)。『We are』も何度聴いたかわかりません。一曲選ぶとなると、「哀しいくらい」だったので、『Over』を紹介しました。このアルバムのメイキング・ビデオのようなものを見た記憶があります。バンドのメンバーと野球をしている場面もありました。小田さんはやっぱり野球も上手でしたよ。ドラムの大間さんがかなり足を引っぱっていたような(笑)。今考えても非常にスマートなメンバーでしたね。ヤスさんは今も活動しているのでしょうか...
by 鯉三 (2007-04-10 23:03) 

seita

私も鯉三さんや蟹道楽さんと同様、Three and Two、We are、Live、Over、I Love Youは聴き込みました。特に中学生の時にWe areツアーを観ることができたのはとても良い想い出です。そして、いまだにアコギを持つと「花なんんて〜オトナに〜」と歌ってしまいます。
by seita (2007-04-15 23:44) 

鯉三

seitaさん:
オフコースのツアーをご覧になったのですか。それは貴重な経験ですね。中学生の時はさすがに一人でコンサートへ行くのが難しく、テレビを見たり、FMを聴いたりしていたものですが、当時オフコースはテレビ出演を拒否していましたからね。
by 鯉三 (2007-04-16 11:57) 

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