生きることの業 車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』 [本]
すでに三度読み返した小説です。
生々しい物語の展開と、言葉を彫り刻むような文章に、何度も打ちのめされ続けています。
小説とは、書くこととは何なのか。
いつもそこに思いを馳せますが、答えは容易に出てきません。だからそれを探して書き続けるのだ、というのはよく聞くセリフです。しかし、それ以前に書かずにはいられない、書くことでしか世の中とまっとうに向き合えないという作家の差し迫った事情があります。その過程で、時に自堕落になる作家も多いし、未熟な自分に甘え続ける作家も多いでしょう。それでも最後まであがきながら、逃げずに不器用な自分と闘っている作家に強く心惹かれます。
この小説に描かれている人々は、社会の暗部に息をひそめながら生きている人ばかりです。
舞台となる尼崎という街。
「土地の人」が「アマ」というこの土地、そこに流れ着いた人々の群れ。
人々の心象風景と街の風景の明暗が、微妙に絡まっていく様がリアルに伝わってきます。
初めまして、しまじろうさんのところから遊びに来ました!
とても興味深い記事ばかりなので、これから遡って記事を読ませて頂きます。
o(*^▽^*)o~♪
by (2006-04-16 10:13)
映画のほうを見てから、こちらの本を読みました。
ぐいぐいと、あの“アマ”の狭いアパートの一室に吸い込まれていくかのようです。確かに映画・原作ともに何度も繰り返し観たく(読みたく)なりますね。
by hama (2006-04-16 11:02)
あきつさん:
はじめまして。
遊びに来ていただいて、うれしいです。
たくさんコメントいただいてありがとうございます。
hamaさん:
お久しぶりです。
「清水の舞台から...」以来ですよね。
その後、ちょっと気になってました。
映画は見てません。
寺島しのぶがこの小説に出てくる女性・綾にほれ込み、車谷さんに映画化されたら出演させてほしいと手紙を書いたそうですね。車谷さんも大変面食らっていたそうですが、聞くところによると迫真の演技だったとか。元々演技のうまい女優さんですが、綾を演じるのは相当の気構えが必要だったことでしょう。
by 鯉三 (2006-04-16 13:58)