母来たる(後) [台湾生活・雑感]
11月18日(日)は、あいにく小雨の降る少し肌寒い天気でしたが、それはそれで楽しみ方もあるだろうということで温泉へ行ってきました。
MRT(地下鉄+モノレール)で石牌駅まで行き、そこからタクシーで5、6分急坂を走ると山肌から硫黄臭が立ち込める一帯に出ます。そこに温泉が湧いているのです。
その辺りでは特に評判がいい温泉施設『川湯』へ行ってきました。
http://www.tabitabi-taipei.com/html/data/10220.html
一人400元(1500円くらい)の食事をすると無料で温泉に入れるシステムで、その温泉は下の写真のように完全個室で利用できます。男女別の大浴場もあるそうです。
湯船になみなみと温泉の湯をはって、ゆっくり浸かりました。
実に気持ちよかったです。
ひとっ風呂浴びたら、もちろんビール。
これだけはやめられません。
入浴後の食事も格別です。
蔭鼓蚵(牡蠣とネギの炒め物)
牡蠣は日本のものよりも小さいです。豆鼓(日本の大徳寺納豆のようなもの)と唐辛子を入れて炒めるのが一般的です。ビールによく合います。
麻油川七
山に自生する植物「川七」は、炒めると独特のぬめりが出ます。ゴマ油とショウガとの相性がばっちりで、メニューの中にあると必ず注文してしまう一品です。
自分で湯をはる個室温泉にちょっと戸惑った母。
それでもそれなりに楽しんでくれた様子でした。
うちに戻って3時間ほど休憩し、その後近所の足ツボマッサージの店に出かけました。
夕食はこれまた近所の「モンゴル風鍋」の店でしめました。
三泊四日の旅は、本当にあっという間ですね。
ところでこの間、うちの猫たちは母とどう接していたかというと...
怖がりのラーは常にあちこちへ逃げ惑うありさまで、不必要に母に気を使わせてしまいました。しかし、母もなんとかラーと触れ合いたかった様子で、終わりの二日間はお互いかなり接近した模様です。
一方のマメですが、正直驚かされました。まるで母がうちへ来るのを前もって知っていたかのように自然に出迎え、しかも母が寝る場所に毎晩待機していたのです。
家猫としてはまだまだ不器用な面が目立つけど、とてもクールで優しいマメ。
惚れなおしました。
母来たる(前) [台湾生活・雑感]
今日11月20日は母の誕生日。そのお祝いにと、先週母を台湾へ招きました。
母はこれまでに何度も台湾へ来ているのですが、一人で飛行機に乗るのは初めてです。しかも海外。ちょっと心配しましたが、無事に空港で出迎えることができました。今回の旅は時間もごく限られているので、遠出をせずにわたしの普段の生活圏内で過ごしてもらうことにしました。
二日目の朝、近くにある台北市立植物園へ行きました。
入園無料。緑がいっぱいです。
こんな近くにこんな素晴らしい場所があるのかと感心してしまいました。
夏を思わせる青空と太陽が待っていました。
広い園内では、こんな野生動物とも出会えます。
これは野生動物ではありません。
昼食は日本の観光客が必ず足を運ぶ『鼎泰豊』へ行きました。もう長く台湾で暮らしているのですが、なんとこれが二回目でした。台湾で生活している者は、こういう機会がないとなかなか行けない場所なのです。
表で順番を待っているのはほとんど日本人でした。
永康街で買い物などをしながら待つこと45分。
ようやくお目にかかれた「小籠包」。
お腹がすいていたので、注文した料理をあっという間にたいらげました。
食後はいい景色でも眺めようと、台北101へ。
世界一高いビル(今は2位だそうですが)の上からの展望は確かに素晴らしいのですが、これを眺めるのに一人350元(1200円)の観覧料はかなり高いと思いました。
帰りに建國花市へ立ち寄りました。
これは全部ブーゲンビリアです。こんなにたくさんの色があるのですね。
もちろん、日本よりも安く買えます。
家へ帰ってテレビで相撲を見ながら少し休み、夜に再び出かけました。
友人の結婚披露宴に参加するため基隆へ。
その友人のことをまったく知らない母を無理やり連れて行きました。こんなことは日本では考えられないことですが、テーブルで同席した人々はみんな気さくな人ばかりで、楽しいひと時を過ごせました。
MさんWUさん、遅刻してすみませんでした。
いつまでもお幸せに。
台湾語(台語) [台湾生活・雑感]
台湾の公用語は中国語(北京語)です。
今から62年前、第二次大戦の終結で日本統治時代を終えた台湾。当時中国を代表していた中国国民党が内戦に敗れ、この地に逃れて臨時政府を置いたことから、国名を「中華民国」として現在に至っています。
日本統治時代は日本語教育が義務付けられていましたが、その当時から現在まで、人々の生活の中にしっかり生きている言葉があります。それが台湾語(台語)です。
台湾語は古くは400年くらい前に移住した、元々中国大陸の沿岸部(現在の福建省あたり)に住んでいた人々が使っていた言葉で、言語としては閩南(ビンナン)語と言われています。しかし、現在使われている台湾語には外来語として定着した日本語も数多く含まれ、明らかに閩南語とは別の言語として成り立っています。
植民地支配は時代に関係なく悪ですが、言葉というものは決して善悪だけでは語れないものです。言葉は、何においてもコミュニケーションのツール(道具)として欠かせないものだからです。台湾の人々が日本語を使うのは、昔も今も日本に媚びているのではなく、日本語を自分達のコミュニケーション・ツールとして上手に取り入れていることに過ぎないのです。
大好きな台湾語の中の外来語(日本語)。
“オトバイ”(オートバイ)
バイク屋の息子として育った自分にはもっとも心に響く懐かしい言葉です。
“オジサン・オバサン”
親戚から世間一般まで、愛すべきおじさん・おばさんのことを指します。
“アサリ”(あっさり)
「淡白な味」を示す言葉としてではなく、「キップがいい、瑣末なことにこだわらない」という、今の日本にはあまりいない、剛毅な人の性格とその態度を表します。
“アタマ ショート”
頭が混乱した時に使う言葉です。
その他にもたくさん例を挙げることができます。
もちろん、オリジナルの台湾語もなかなか語感が魅力的です。
特に食べ物の名前は、台湾語によるものが多いように感じます。
例えば、“焼きビーフン”のビーフン。これは中国語では「ミーフェン」といって全く発音が違います。果物のライチも台湾語。中国語では「リーツ」といいます。その他にも台湾の庶民料理には台湾語でしか言い表せないものがたくさんあります。
そしてもう一つ。
台湾では決して中国語に言い換えられない言葉、それが蜆仔(ラー)です。
三年前のある日、市場で酒の肴・蜆仔(ラー)の醤油漬けを買って家へ帰る途中、近所のペット・ショップで片目の仔猫と出会い、譲り受けたその猫をラーと名付けました。以来知り合った台湾の人に、自分の猫がラーという名前だと話すたびに、決まって皆さん大喜びしてくれます。それがとても嬉しく、同時にわたしと台湾との関係、そしてもちろんわたしとラーとの関係が良好であることを確認できるのです。
一方、こちらの関係も良好そのものです。
ここ最近台北は急に肌寒くなってきたので、IKEAの黒猫ベッドを出しました。するとすぐにその中に入ったのがマメ。ラーはもともとこのベッドが苦手だったので、ちょうどよかったです。
ちょっと気になる様子のラー。そして、いたって満足そうなマメ。
ソファーには二匹のためにクッションが二つ置いてありますが、なかなかこちらの思惑通りにはいきません。それがまたおもしろいところかなと、秋の夜長を楽しんでおります。
台風去る [台湾生活・雑感]
今度のはすごかったですね。
ほんと、すごかったね。
この週末、台湾北部を大型の台風が通過していきました。風雨ともに今年一番激しい台風でしたが、幸い近所で目立った被害は出ませんでした。しかし、おかしな動きをする台風でした。まるで台湾に上陸するのをためらったかのような軌跡です。
おかしいといえばこの気象図。
何がなんだか、さっぱりわかりません。まるでセンサーに映ったプレデターのようです。それとも台湾の人にはこの方がわかりやすいのか...
ともかく、こんな感じで台風は去っていきました。
外の天気をよそに、家の中ではこんなに穏やかな光景を目にすることできました。
お互い相手のそばで休むことが増えました。
ソファーではもっと近くに
なかなかいい感じです。
明日は休み [台湾生活・雑感]
またまた来るんですか...
はい、またまた来るようです。
困ったものですね。
はい、困ったものです。
ちょっと調べてみます。
今度のはかなり大きいようです。台風の中心は東部沿岸から上陸して南部中部を斜めに縦断するようですが、あまりに規模が大きいので台湾全土をすっぽり包み込んでしまう模様です。ついさっき、台北市政府から「今天晩上不上班不上課」(今晩は出勤しないように(すでに出勤している人は仕事をすぐに切り上げるように)、登校しないように(登校している人はすぐに帰宅するように)との公布があり、帰宅したばかりです。どうやら明日も休みとなる見込みです。
今回は大きい台風だし、他の場所ではきっとかなりの被害が出るだろうから、この週末はおとなしく過ごしたいと思います。この機会に、ラーと一緒にゆっくり夏の疲れをとることにします。
<訃報>
輝けるモダン・ジャズ史は、この人の存在なしで語れない。
チャーリー・パーカーやデイジー・ガレスピーの奔放な演奏とそのスピードについていけて、クリフォード・ブラウンの類稀れなるセンスと歌心に反応できる、素晴らしい技術と感性。
偉大なドラマー、マックス・ローチの冥福を心からお祈りします。
- アーティスト: チャーリー・パーカー, チャールズ・ミンガス, バド・パウエル, ディジー・ガレスピー, マックス・ローチ
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 1999/09/22
- メディア: CD
<追記>
ようやく雨があがったね。
ご心配いただき、ありがとうございました。北部は特に大きな被害が出ることなく、無事でした。上陸時は「強烈颱風」と言われていたのですが、台湾には3000メートル以上の山々が連なる中央山脈があるため、今回も衝立となって台風の勢いを削いでしまったようです。それでも相当の風雨だったので、外へ出ることは避けて家でラーとじっとしていました。
明日は出勤 [台湾生活・雑感]
また来るんですか...
はい、また来るようです。
ちょっと調べてみます。
今度の台風は台湾中部を縦断するようですが、勢力は弱いようです。先ほど政府が気象台を通して「明日の台北市は正常通りに『上班上課』(出勤・登校)」と発表したようです。まとまった雨は降るようですが、風は弱そうなので安心しました。まあ、用心に越したことはないので、出勤時は気をつけましょう。
あらら、もう寝てしまったのですね。
でも、マウスをひっくり返すのはやめてくださいね...
<追記>
台風一過。
8月9日は、朝から青空が広がるいい天気でした。
ご心配いただき、ありがとうございました。
秘密の場所 [台湾生活・雑感]
台北郊外の新店からバイクで20分ほど走ったところに、その秘密の場所があります。
二年前に偶然この場所で蛍の群舞を目の当たりにし、とても感動したのですが、そのそばにこんな川の流れがあるのを知ったのは最近のことです。いつかここで竿を垂れてみたいと思っていました。
本当に久しぶりの川釣り。最初は仕掛けをポイントへおくるのに苦労して、何度も木に引っ掛けてしまいました。それに思ったほど水量がなく、大物は期待できそうにありません。更に決定的だったのは、なんとエサを忘れたこと。仕方なく、川辺の石をひっくり返してはカゲロウの幼虫などを見つけてそれをエサにして釣ってみました。
それでも、なんとか二時間ほどの間に4匹釣れました。
カワムツ3匹と、台湾固有の淡水魚「石斑」の幼魚が1匹。
日本統治時代に「セイバンゴイ」と名付けられたそうで、確かに鯉のように口ひげがあります。大型の石斑は引きがとても力強く、釣り人を喜ばせます。
とにかく、この日の釣果はたったの4匹でどれも小型。終わった後は川へ戻しました。たくさん釣れていたら、持ち帰って唐揚げにして食べるのですが。
子どもの頃から、一人で過ごしても一向に退屈しないのが川釣りです。川のせせらぎと野鳥の声だけを聞きながらの2時間はとてもいい時間でした。梅雨が明けたらまた来ようと思います。
家へ帰って、ラーと一緒に階段を下りていると、「楽しそうな」声が聞こえてきました。
窓から下を覗くと...家の裏側の屋根を野良猫の親子が歩いていました。
仔猫が興味をもって、こちらをうかがいます。
なかなか可愛い仔猫です。
少し離れたところで、お母さん猫が心配そうにこちらを見守っていました。
表通りは車やバイクの行き交いがあって危険がいっぱいなのですが、裏側は人も歩かないし、安心して過ごせるのでしょう。きっと彼らにとっての「秘密の場所」に違いありません。
なんだか、猫親子の楽しい時間をじゃましてしまったみたいで申し訳ない気持ちになりました。
驚かせて、ごめんね。
でも、よかったらまた声をかけて(?)みてね。
ラーと一緒に顔を出すから。
土城の油桐花 [台湾生活・雑感]
今年は久しぶりに日本で花見ができて、とても感激していたのですが、台湾でも運よく花見をすることができました。桜ではなかったのですが、これまた美しい花で、忘れられない思い出になりました。
新緑の山に雪が積もっているような風景です。
これが油桐花(ヨウドンフア)です。
油桐花は、客家(ハッカ)の人々が多く住む中部の苗栗(ミャオリー)が特に有名ですが、台北近郊の土城(トゥチェン)でも見ることができます。
遊歩道が整備されていて、緑の中を散歩できます。
清らかな小川には、たくさんの魚が泳いでいました。きれいな川にしか住めない日本のカワムツとよく似ている魚です。おそらく台湾固有の淡水魚でしょう。
油桐花は桜と違って、とても高いところに咲いているので、こうやって散り落ちた花を眺めることになります。どうしても人に踏まれてしまうので、早朝が一番お勧めだとのことです。
とても可憐な花です。
散策中に出会った動物たち。
白頭翁(バイトウオン)。台湾ではどこでも見かける野鳥ですが、“コロコロコロ”とさえずるその声はとても可愛くて、大好きな鳥です。
流浪狗(野良犬)たちの昼寝姿。壮観です。
台湾の野良犬たちは、とてものんびりしています。
初夏の太陽を浴びて、わたしも昼寝をしたい気分。
家へ帰ると、ラーがわたしの部屋で寝そべっていました。
短い梅雨の後、南国の夏がやってくる台湾です。
猫空 [台湾生活・雑感]
台北市南東部の木柵(ムーツァ)は市立動物園や国立政治大学があり、緑も多くてとても落ち着いた環境が魅力のエリアです。そしてここはなんと言ってもお茶の産地として有名なのです。特に「貓空」と呼ばれる地域は山間部に茶畑が連なり、都会の喧騒をしばし忘れさせてくれます。
茶園の案内と地元のお茶をPRする施設の展示
山には油桐花が咲いていました。今が見頃です。
そもそも、どうしてこの地域に貓空という名前がついたかというと、この辺りを流れる渓谷の岩肌に深い筋がたくさん刻まれていて、それが猫に引っ掻かれた傷痕に見えるというのです。昔は台湾語で「猫の洞(穴)」と呼ばれていたそうなのですが、それがいつしか中国語の「猫空」へ転化したのが名前の由来だと言われています。
バイクを走らせていると、行く手を遮るものがいました。
台湾土狗(台湾土着の犬)です。ラー柄の猫に通じる何かを感じ、親しみを覚えました。
山道に疲れて、ちょっと休憩することに。
こんな場所でお茶と食事を楽しみました。
お茶は地元の「文山茶」。苦茶油を少し入れた麺線(素麺)と近くで採れたセリの炒め物。
目の前にはこんな景色が広がります。場所によっては、台北市内を見下ろせるところもあって、夜はお茶を飲みながら夜景を楽しみむ人々で賑わいます。今回は昼間の人が少ない時間に、山の緑をぼんやり眺めて気分をリフレッシュさせました。
こんなのも目にしました。
貓空に住む猫です。
よく見ると後ろにも...
ラー柄の猫がいました。
家へ帰ると、ラーが冷蔵庫の前でスタンバっていました。
こちらはお茶ではなく、水を飲みながらわたしを眺めています。
台北はだんだん気温が上がってきました。
元宵節 [台湾生活・雑感]
今日は元宵(旧暦の1月15日)です。
今年最初の満月は、あいにくの曇り空で拝むことができませんでしたが、台北郊外の碧潭(ピータン)で天燈を見てきました。
あちこちに明かりが。
これがその天燈です。
願い事がいろいろ書かれています。
家内安全に健康祈願...
「目標股神」! これはおそらく「株の神様になりたい(=株で儲けたい)!」といった意味か。さすがは台湾の人!お金のこともストレートに書きます(笑)。
さあ、天燈が飛び上がりました。
画像ブレブレですみません。
天燈がふわふわと夜空を登っていく様子はとても幻想的で、言葉では言い表せません。「百聞は一見にしかず」です。
テレビ・ニュースでは、有名な平溪天燈節を紹介していました。
夢のようです。いつか見に行きたいものです。
「2007台湾ランタン・フェスティバル」公式サイト(日本語あり)
http://www_link.cyhg.gov.tw/light2007/index.aspx
雨空の上にある満月を思い浮かべながら、Bill EvansのMoon Beamsを聴きました。ああ、酒がうまい。いい夜になりました。
<追記>
同じ台北在住ののんたんさんが平溪天燈節に参加なさったそうです。元宵節のことも詳しく紹介されています。その記事はこちら。